わかめ 食物線維 が多い海藻類のひとつです。わかめは、海藻の中でも特に食物繊維が豊富です。乾燥わかめには、可食部 100g あたり約 39g の食物繊維が含まれており、この量はレタス約半分に相当します。わかめは、ごくかぎられた地域にしか見られないコンプとは異なって、室蘭、礼文島以北と紀伊半島以南を除く日本沿岸に広く分布しています。
わかめ 食物繊維 が多い
しかし、近年、天然わかめは年々収穫高が減る傾向にあり、かわって養殖わかめが圧倒的に多くなってきています。
たとえば、1983年の年間生産量を見ると、天然わかめの1万トンに対して養殖わかめは11万3000トンに達しています。また、中国や韓国からの輸入量の増加も目立ってきています。
わかめはその加工方法によりさまざまな製品に分類できます。代表的なものは採集したわかめを広げて天日で干した「素干しわかめ」、採集後、付着している水をふきとって、灰をまぶしてから天日で干した「灰干しわかめ」、熱湯に浸して茶褐色の藻体を緑色にかえてから冷水につけ、さらに陰干しにした「湯抜きわかめ」、採集後、塩をまぶして脱水し、余分な塩をふるい落としてから冷凍保存する「塩蔵わかめ」などがよく知られています。
わかめはコンプと違い、素干しのものは微生物に侵されやすいので、あまり多くは作りません。主に湯抜き(湯通し)塩蔵品です。
いずれの製品にしても、わかめにはコンプ同様たくさんの有効成分が含まれています。そのうち、まず第一にあげなくてはならないのは、アルギン酸、フコイダンなどの食物繊維でしょう。
干わかめ 100 グラム中には、44% 以上の食物繊維が含まれています。なかでも、わかめが成長すると、茎にあたるはうしよう部分の周囲に胞子葉と呼ばれるひだのような葉状器官ができ、これは一般に芽株とかミミと呼ばれているわかめの生殖器官ですが、ここにはとくに脂肪が多量(88%)に含まれています。
これは遊走子がたくさん入っているためです。また、フコイダンも葉の部分より多いのです。私たちのからだに有益に作用するフコイダンの働きについては、すでにくわしく述べましたので、ここではふれませんが、フコイダンを多く含んでいるということで、さまぎまな点で有益な食品であるということは今さら説明するまでもないでしょう。
ワカメの脂質の中味は、コンプと同様に肝臓の代謝機能をよくする不可欠脂肪酸や、動脈硬化を予防するEPAも多く含まれており、その量は100グラムの芽株中に、1.1グラムも含まれています。この点ではコンプの約3倍量にもなります。これまで、私たちがワカメを食べるとき、食用にするのはもっばら葉のやわらかい部分で、葉の下にあってかたい芽株は捨てられていたのですが、それは実にもったいない話なのです。
わかめはたばこの害も防ぐ
もうひとつ、忘れてはならないのは、わかめはタバコの害、すなわち、ニコチンの害を防いでくれる働きをもっているということです。
ニコチンの害についてはいろいろとありますが、なかでも大きなものは肝臓の働きを低下させてしまう点です。たばこと肝臓の働きというのがいまひとつピンとこない人もいますが、専門科の間では、非常にスタンダードな情報です。
肝臓は、体内に入ってきた物質を必要なものと不必要なものに分け、必要でもすぐに使わないものを貯えておき、さらに不必要なものは体外に排出しやすい形にかえるという働きをしています。
このとき、肝臓はアミノトランスフェラーゼ、コリンエステラーゼなどの酵素を分泌し、そうした働きがスムーズに行えるようにしているのですが、ニコチンはこれらの酵素の働きを抑えてしまうのです。
これについては、次のような実験がされています。東京農業大学の故・渡辺義雄教授らはネズミをふつうのエサで飼育したグループ、エサにニコチンを混ぜたグループ、エサにニコチンとわあかめを混ぜたグループの3つに分け、約4ヶ月飼育した後、それぞれの肝臓の働きを比較検討してみました。
すると、ふつうのエサのグループ、ニコチンとわかめを混ぜたエサのグループの肝臓にはばとんど差がなく、エサにニコチンだけを混ぜたグループの肝臓の働きはかなり悪化していました。この結果からニコチンによって抑えられた酵素の働きがわかめのある成分によってほぼ正常にまで回復したものと考えられます。
このニコチンの害を防ぐわかめの物質の本体は、この研究で明らかになっていませんが、わかめに含まれる有効成分は、量の差はあってもコンプにもだいたい含まれているものが多いので、わかめのかわりにコンプを使って実験してみれば、おそらく同じような結果がでるのではないかと考えられます。
最近、健康を気にする人の間ではタバコばなれがどんどん進み、嫌煙権運動もますますさかんになっています。
タバコはやめられればそれにこしたことはないのはもちろんですが、どうしてもやめられないという人が少なくないのもまた事実です。ですから、タバコを吸う人は、毎朝ワカメの味噌汁飲み、せめてニコチンの害を防ぐようにすることが大切でしょう。
わかめの食物繊維
- 含有量: 乾燥わかめには約35.0g/100g、戻したわかめには約4.2g/100gの食物繊維が含まれています 。一般的な食物繊維の含有量は、戻した状態で計算されます。
- 種類: わかめには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が含まれています。特に、水溶性食物繊維のアルギン酸が多く含まれており、これは腸内でゲル状になり、コレステロールの吸収を抑える働きがあります。
- 効能: 食物繊維は、便秘の予防・改善や、血糖値の急激な上昇の抑制、コレステロール値の低下、腸内環境の改善に役立ちます。特に水溶性食物繊維は、満腹感を持続させ、食事のコントロールにも貢献します。
わかめのその他の栄養素
- ミネラル: カルシウム、マグネシウム、ヨウ素、鉄分などが豊富。
- ビタミン: ビタミンA、ビタミンKなど。
- 低カロリー: 乾燥わかめの場合、100gあたり約140キロカロリー程度と低カロリーで、ダイエットにも適しています。
料理での活用方法
わかめはサラダ、味噌汁、酢の物、炒め物など、さまざまな料理に活用できます。戻したわかめはすぐに使えるため、手軽に食事に取り入れられる食材です。
わかめを普段の食事に取り入れることで、健康維持や美容効果も期待できます。