昆布の成分

低カロリー食品の王様

現在、日本人の食生活は非常に豊かになってきました。しかしその半面、近年では栄養のとり過ぎによる成人病や肥満の増加などの、新たな問題も生まれてきています。ご存じのように、カロリーの高い食品は動物性食品である肉やその脂肪、そして砂糖類などの炭水化物(または糖質という)です。

もちろん、人間が生きていくためには、それなりのカロリーが必要ですが、これらの食品を食べ過ぎれば、カロリーオーバーとなり、成人病の促進や肥満の原因となります。

カロリーの過剰摂取は、適度な運動などで消費すればある程度は解消できます。しかし、なかなかそうもいかないのが現状です。したがって、ふだんからカロリーのとり過ぎに注意することが必要で、時には低カロリーの食事を心がけるとよいでしょう。その点、昆布などの海藻は理想的です。

昆布のカロリーは、タンパク質やアミノ酸を除けば低いものです。また、昆布の半分を占める糖質は、アルギン酸とかフコイダン、マン二トールのような、人間のもっている酵素では消化しにくい物質で占められているため、食べた場合のカロリーはほとんどないといってもいいくらい、低カロリーです。

昆布には、遊離アミノ酸が比較的多く、養殖昆布についても、もっともよく成長した7月の藻体では、無水物100グラム中に2.74グラムもあり、そのうえ、結合しているアミノ酸、つまりタンパク質として6.81グラムもあります。遊離しているアミノ酸では、グルタミン酸1.54グラ、アスパラギン酸0.9グラム、アラニン0.06グラムで、そのほかのアミノ酸はアラニン以下です。ですから、昆布の味の決め手になる遊離型の3種類のアミノ酸の量は、全遊離アミノ酸の91パーセントにも達するのです。

昆布が料理の味出しに役立つ理由もここにあるのです。

豊富なミネラルや食物繊維

昆布はカロリー面から見ると、食品の中でももっとも低いほうの部類に入りますが、ビタミン、ミネラルなどの、いわゆる重要微量栄養素がひじょうに葦冨に含まれています。

代表的な昆布である真昆布については、食べられる部分100グラム中のビタミン以外の成分は以下のとおりです。

  • たんぱく質(9.3%
  • 遊離アミノ酸(1.51%)
  • 脂質(2.5%)
  • フコステロール(0.11%)
  • 総炭水化物(50.0%)
  • マンニトール(16.3%)
  • フコイダン(2.5%)
  • ラミナセン(1.0%)
  • アルギン酸(22.3%)
  • 粗繊維(5.4%)
  • カルシウム(0.94%)
  • マグネシウム(0.82%)
  • 鉄(0.38%)
  • ナトリウム(3.3%)
  • カリウム(13.7%)
  • ヨウ素(0.327%)
  • リン(0.32%)

ただし、すべての成分は、水分を完全にとり除いて、乾燥した昆布に含まれるパーセントであらわしてあります。この中で特筆すべきは、カルシウム、マグネシウム、鉄、ヨウ素、カリウム、アルギン酸、遊離型のアミノ酸の量です。とくに、カルシウムは同じ量の牛乳の約20倍、鉄はホウレンソウの約2倍、ヨウ素は、多く含むといわれているイワシなどの1000倍以上にも達します。
このヨウ素の量は食品としてはむしろ多過ぎる含有量ではありますが、昆布はこのほか、人間のからだに必要な微量元素、つまりイオウ、鋼、亜鉛、コバルト、ニッケルなども適量含んでいます。こうした栄養素は、いずれも、現代の食生活では欠かすことのできない重要なものなのです。

たとえば、昆布の糖質のアルギン酸とフコイダンは、水溶性食物繊維として、高血圧を防いだり、血中コレステロール値を下げる働きがあります。フコステロールも血中コレステロールを下げたり、血栓防止の働きがあります。カルシウムおよびマグネシウムは骨を丈夫にし、神経のイライラを防止したり心臓病の予防にも役立つとされてます。
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ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料となり、老化防止にまた肥満防止に役立ちます。カリウムもまた、ナトリウムと括抗して血圧を安定させる作用があります。さらに鉄は、血球の増殖をうながして、貧血を防ぎます。このように、昆布には健康のためになる食物繊維やフコステロール、そして多くのミネラル、とくにからだに必要な微量元素も適量含まれており、ひじょうにすぐれた食品といわなくてはなりません。
そして、陸上の植物である野菜などと比べると、低カロリー食品でありながら、重要な成分を多く含んでおりますから、やはり、野菜だけではなく、昆布などの海藻類も食べたほうがよいのです。

昆布の種類と原産地と取り扱いや保存の注意

昆布の名所は北海道

コンプは三陸海岸でも多少とれますが、北海道の特産品といって間違いありません。しかし、最近は胞子から育てて幼体を海で大きくする1年性のコンプの養殖が始められていて、これは東京湾やそのほかの暖かい地方の海岸でも行われています。

「早煮コンプ」などとして市販されている製品はこの種類です。北海道に良質の昆布が多くとれるのは、コンプの胞子のときの成育や発芽に、摂氏7~10度の低い温度が適しているからです。成体(食べる部分) になると15~17度でもよく育ちます。

現在、日本のコンプ生産量はここ数年あまり増減の変化はありません。その95パーセントを北海道で生産しており、総生産量の60パーセントを根室と釧路のコンプが占めています。

さらに、同じく総生産量の5~10パーセントが海外輸出用で、アジアやアメリカに向け輸出されています。

ちなみに、ここで昆布の生産量の変遷をあげてみましょう。数字は水揚げの量です。

昆布製品の種類と特徴

現在、日本、とくに北海道で生産されている昆布の種類はおよそ18種類といわれていますが、そのうちわけは、昆布属のものが約10種類、そのはかのいわゆる昆布といわれる種類が約8種です。それぞれ昧も栄養価も微妙に異なっています。最近では市販の昆布製品には品質表示がされるようになり、種類や生産地も明記されるようになっています。その代表的なものは以下のとおりです。

種類 特徴 加工後の製品名
真昆布(元揃昆布) 上品な甘みとこくがある最高級品 おぼろ昆布、とろろ昆布、白板昆布、しらが昆布、酢昆布、茶昆布、りゅうひ昆布、山出し昆布、塩昆布、昆布菓子類
三石昆布(三石長切、雑昆布 日高昆布ともいい一般向けの味で煮えやすい 昆布巻き、佃煮、塩昆布、刻み昆布、切り昆布、青切り昆布、甘昆布、早煮昆布
鬼昆布 羅臼昆布ともいい、香りがよく濃いダシがとれる高級品 おぼろ昆布、とろろ昆布、白板昆布、しらが昆布、酢昆布、茶昆布、りゅうひ昆布、山出し昆布、塩昆布、昆布菓子類
利尻昆布 澄んで香りのよいだしがとれる。真昆布より塩気が多い とろろ昆布、おぼろ昆布、白板昆布、しらが昆布、茶昆布、粉末昆布
細目昆布(なが長切、雑昆布) 最初に甘みを感じる。だし用にもなるがとろろ昆布やおぼろ昆布向け とろろ昆布、おぼろ昆布、佃煮
根コンブ粉末やその錠剤 主に真昆布の根を粉末にしたり錠剤にしたもので最初に甘味を感じる とろろ昆布、おぼろ昆布、佃煮

昆布の一生

昆布はほかの海藻、たとえばワカメやスサビノリ(ノリとして市販されている製品の大部分) などと同様に、種子にあたるものは胞子です。それがしだいに成長して成体(おとな になります。成体に生じた子嚢斑から秋には2本の鞭毛をもつ胞子( 遊走子)が放出されて、やがて岩などにくっついて、そこで発芽しますが、それらのうち、あるものは雌の配偶体となり、あるものは雄の配偶体になります。配偶体はいずれも糸状に細胞が集まってできています。
雌のほうに作られた卵と、堆から生じた二本の鞭毛を持つ精子とが合体し、そこから幼体が生じます。

幼体は秋冬の間にしだいに成長し、春には大きな成体になります。この成体は夏に向かってどんどん成長し、一人前の昆布となるのです。養殖コンプという、人工的に海で栽培するコンプの場合、この時期に海からひきあげて干して製品にします。一般に昆布は、夏の終わりごろから秋にかけてからだの一部に子嚢斑ができ、そこから遊走子が作られます。この遊走子から成体までがコンプの一生というわけです。それから冬にかけて、先の方は枯れ落ちてなくなってしまいますが、また翌年の春から新たに成長し始め、夏の終わりごろには二年性のコンプができあがり、これは全体として一年性のものより、厚く色も濃く、しっかりしています。そして、この天然コンプの大部分は二年目で刈りとられます。

昆布の買い方、保存法

昆布は主に夏に採集され、そのまま浜で天日干しにされます。したがって、夏の終わりから秋にかけての季節が、新しい昆布を手に入れるのにはよい時期です。しかし、良質の昆布は時間がたつほどに味がこなれてくるといわれていますので、必ずしも新しいものにこだわる必要もないようです。

昆布は、スーパーや乾物屋さんに行けばいっでも手に入るものですが、ふだんからよく使いますのでまとめ買いをしておくのがおすすめです。ネットで購入する場合は、北海道 日高昆布 訳ありなどのキーワードで検索すると高品質の訳あり商品を低価格で入手できます。
まとめ買いはお得ですが、家庭で丁寧に保存しておかなければなりません。
根コンブも干したものが袋に入れて販売されています。
粉末の状態で購入できるものもあります。

市販の干し昆布はもともとが保存食ですから、保存する場合はとくに心配をする必要はありません。しかし、湿気や熱にあたると、細菌やカビが生えて変質する可能性がありますから、そのまま台所に置きっばなしにするのはあまりよくありません。まとめ買いをした場合には、当面使う分だけを缶や密閉容器に入れておき、残りは乾燥剤とともにビニール袋などに入れ、乾燥した場所に保存してください。湿気は干昆布の大敵です。つまり、乾燥状態なら雑菌はつきにくいものなのです。

万が一にも昆布がしけってしまったら早めに天日で干して再度保存します。また保存中に白い粉がふいたような感じになることがありますが、これはマンニトールという物質を主成分とした昆布うまみ成分が吹き出してきたもので、カビではありません。いっぽう緑色や赤茶色に変色している所もよくみられますが、そこは細菌やカビにやられている所ですから、その部分を切りとっておくとよいでしょう。

なお、根コンプ水を作る場合には、必ず冷蔵庫で保存します。詳しい根コンブ水の作り方や詳しい情報はこちらです。

ここでちょっと、昆布はとりたてのものより、素干しにして少し日がたったほうが、うま味が出るわけを説明しておきましょう。コンプのうま味の主体は、グルタミン酸というアミノ酸ですが、ほかの食用海藻と比べて、コンプにはこのグルタミン酸がとくに多いのです。
ところが、コンプを日干しや熱乾燥すると、その間にグルタミン酸はもちろん、そのほかの味に微妙に関係するアミノ酸が増えてきます。それ以後、貯蔵している間にも多少は増えます。それは、コンプの中のタンパク質が自分の中にあるタンパク質分解酵素によって一部分解され、アミノ酸に変わるからです。これを自己消化といいます。ほかの生の食品でも、このような自己消化の現象がよくみられます。

昆布の歴史

いくさの準備は昆布類で

日本人は古代からノリやワカメなどとともにコンプも食べていました。そのような昔、まだ現代のような食物の貯蔵方法がまったくなかった時代、コンプ、ワカメ、ヒジキなど、天日で乾燥させるだけで容易に保存食となる海藻は、非常に重要なものだったのです。これらの保ん仔食は、戦時や飢仙陛の時に利用されたため、戦国時代の大名や領主は、そうした時に備えて食料を貯えました。これらの保存食は、戦時や飢饉の時に利用されたため、戦国時代の大名や領主は、そうした緊急時に備えて食事を蓄えました。

保存食には海藻のほかにも、もち、肉の燻製、干し魚、そして塩や味噌などがありました。そうした保存食料を使った陣中料理のひとつしひや汁というものがあります。これは凍豆腐、煮干し、味噌、たまりなどの煮汁を樽に詰めて戦場に運び、干し海藻にそそいで食べるもので、いわば現代のインスタント食品のはしりともいえるものです。

藻は煮汁を吸収して膨らむので、満複感を得られるすぐれた野戦食でした。これは今日の栄養学から見ると、とりもなおさずカロリー源の穀額のほかに、食物繊維やミネラル、ビタミンなどの補給となっていたのです。

中世の昆布料理

古代が終わり、農耕技術が全国に浸透したころ、日本は平安時代に入ります。しかし、このころはまだ米の収穫量は少なく、野菜の栽培法も発達しておらず、海藻は非常に貴重な食品でした。承平年間(931~937) に編まれた、日本で最初の百科事典である「和名抄」という書物の中にも、保存食として、21種の海藻が記され、それらが食膳にあがっていたことをものがたっています。

また、同じころ(10世紀初期) の宮中作法や各種の律令細則を集大成した「延書式」という書物には、数種類の海藻を用いた4種の料理が紹介されています。

それらはコンプや二ギメ( ワカメ)、ムラサキノリ(アマノリ)、トサカノリ、ミルなどの海藻を米、糖、くさ、あら醤、醤、酢、塩などとともに調理した「海菜」、ムラサキノリ、コルモハなどを味噌、あら醤、酒、塩、しょうがなどで調理した「汁物」、そしてアラオ、オゴノリ、ヒジキ、ツノマタを糒糖、黒大豆、小豆、くさ、塩、酢、醤、酒、味噌、ごま、からしなどととにも煮込んだ「好物」および、トサカノリ、ツノマタをゆでて味付けした料理「ゆで菜」の4つの料理であり現代の佃煮や海藻の味噌汁などに相当するものです。

さらに平安時代中期の「宇津保物語」には天皇への献上品のひとつとして、壺入りの甘海苔(ムラサキノリ・ノリ) があげられます。これらの史実は、平安時代にも海藻が多く出まわっていて、食品としてすでに高い評価を得ていたことがうかがえます。その後、鎌倉時代には仏教の伝来とともに精進料理としての海藻料理が発達し、料理のほかに菓子や加工品とされ、室町時代には茶会料理などにも海≠操が利用されていたようです。
こうして、海藻料理は時代がたつにつれて、しだいに工夫され、洗練されていったのです。

昆布の城

戦国時代に入ると、心ある武将はつねに海藻の備蓄を忘れませんでした。こうした工夫のひとつとして、築城の際、彼らが城壁などに保存食を埋め込んだのは有名な話で、たとえば、加藤清正の熊本城には、城壁と小う城壁にコンブやアラメが塗り込められていたといわれています。

その加藤清正以上にこだわったのが、松永弾正久秀です。彼は三好長慶に仕え、三代将軍・足利義輝を自害に追い込んだ武将ですが、彼が築いた奈良の多聞城には、コンプ、アラメ、ワカメ、ヒジキなどの海藻が3年分も貯えられていたということです。当時の文献にも海藻の重要性が記されており「武則要秘録」には、兵糧としてコンプ顆を細けいこうかく刻み、醤油で煮しめて携行する、とありますさらに、この時代にさかんに行われたであろういくさの出陣式に、コンプが必ず使われていたことは先に述べたとおりです。これほどまでに戦国武将たちに信頼されていた海藻は、よほどその効用がすばらしかったのでしょう。武将ばかりでなく、江戸時代になると、海藻類は、天明、天保の飢饉の際の非常食として珍重され、数多くの庶民の命をも救ったのです。

コンプ食品の歩み

石器時代から弥生時代の日本原住民が、海藻を食べていた証拠はすでに述べましたが、これらはおそらく、魚などと煮たり、日干し、つまり素干し品の形で利用していたと思われます。この素干し品は、大和朝廷時代(4四世紀以降)には、すでに重要な食品として、ほかの海産物や穀類などといっしょに利用されていたようで、以来、奈良、平安時代を経て、戦国時代にも素干し品が備蓄され、必要なときには煮物として食べられていました。

しかし、いずれにしろ海藻食品は貴族階級のもので、一般庶民の口にはあまり入らぬものでした。いっぽう製品は多様化し始め、あぶった青ノリを混ぜて作った青ノリもちとか、アラメを混ぜて鷹の羽に似せたカマボコやノリ巻きなどもありました。

当時は、菓子食品も作られましたが、海藻菓子ではコンプが主材料だったといわれています。酢に浸したあと、やわらかくさせてからいろいろな型に結ぷ、結びコブも、このころ作られ始めました。そして、江戸時代に入ってからは、とくに大阪附近で、現在私たちが食べているようなコンプ食品が作られるようになったのです

日本人とコンブの関わり方

古くから関わっている

だしに、佃煮に、煮物にと、コンプは日本人の食卓になくてはならないもののひとつです。このコンプと日本人のつきあいは、いったいいつ頃から始まったのでしょうか?歴史書にコンプが顔を出すのは、「古事記」、「日本書紀」の時代にさかのぼります。

両書にみられる「海布」が今のコンプにあたるとされています。「古事記」の成立は西暦八世紀初期ですが、日本の原住民が日本列島に住み始めたのは、少なくとも紀元前約1万年前といわれていますそのような古代、まだ日本で稲作が発達していなかったころ、当時の日本人は自然に育っている木の実や野草や海藻を採集したり、鳥獣や魚類をとって食物とする食生活が中心でした。

考えてみれば、魚をとるついでに簡単に採集でき、しかも、あまり手を加えないで食べることができる海藻も、常食のひとつとなっていったのは、ごく自然なことでしょう。古代日本人の食生活における海藻の存在は、今まで発見された古代遺跡からも明らかになりつつあります。

たとえば、縄文・弥生の遺跡が多数発掘された島根県鰐村の洞窟では、魚の骨や貝殻とともに、コンプの仲間のアラメやホンダワらしい海藻の痕跡も検出されており、古代から海藻を食べていたことを裏付けています。
現在も、この洞窟穣の周辺は、良暫貝なっカメやノリの産地として有名です。

また、青森県の亀ケ丘泥岩望追跡では、縄文式たは土器の中からワカメなどの海藻が束になって発見されています。縄文時代から4~5世紀まで、私たちの祖先がどのようにして海藻を食べていたか、残念ながら具体的にははっきりとわかっていません。

しかし、コンプなどの生の海藻を煮て食べると同時に天日干しなどの簡単な方法により、保存食として利用されていたのはほぼ間違いないと考えられています。私たちの祖先が、農耕時代を迎えるまで、海藻を常食していたのは、それが毒のあるものではなく、むしろからだのためによい健康食品であるということを体験的に知っていた、生活の知恵だと思われます。

コンブの語源

コンプは現在でも北海道でそのほとんどが生産され、アイヌ人たちも、苦からコンプを常食していました。こうしたコンプの語源や昔から北海道でコンブがたくさんとれたという史実から見ると、あんがい、日本で最初にコンプを食べ始めたのはアイヌ人であり、それを縄文人たちがまねたのかもしれません。

また、北海道には蘭越町昆布川温泉、ニセコ町昆布温泉、ラウス町昆布浜など、コンプにちなんだ地名もいくつか残っており、この土地とコンプの縁の探さを物語っています。

縁起物

結婚の結納品にコンプが含まれているのは「こんぷ」を「子生婦」とあて、子宝がさずかることを願ってのことです。また、正月の鏡もちの上にコンプをのせるのも、よく見られる風習です。それは「よろこぶ」のこぶ」をコンプにかけたのだという説もあります。

今まで述べてきたように、日本列島では原住民の時代から海藻を食べていたことは明らかなのですが、三陸海岸を除くと北海道にしか成育しないコンプが、なぜ日本全土に広まったのでしょうか。大和朝廷の成立から奈良時代にいたる7~8世紀ごろには、すでに北海道南端の江差や松前港から北陸地方に船で運ばれていました。

そして、従来は主にだし用として使われていたコンプが、トロロコンブやオボロコンプなどとして食べられるようになりました。

室町時代の14世紀ごろになると、敦賀に荷揚げされるようになり、そして、商業の中心地大阪に定着しました。そして、佃煮を中心とした保存のきく製品が重要視され、多くの量のコンプが加エされるようになりました。

江戸時代後半の18世紀の終わりごろには、九州西部から、沖縄まで広まり、中国にまでも渡ったのです。コンプは以上のような経路をたどって日本全国に広まり、今日の私たちの食膳に並ぶようになったとされています。これは、コンプがすぐれた食品であることが第一の理由ではないかと考えられます。おいしくて、栄養のあるものは全国共通ということでしょう。

コンブの驚くべき薬理効果

これまで注目されていなかったコンブ

四方を海に囲まれた島国の日本では、コンプやワカメなどの海藻が、昔からみそ汁や煮物、酢の物など、ごく身近に食べられる食品として親しまれ、また、それらの海藻は、私たち日本人の食生活を支える貴重な栄養源として、大いに利用されてきました。

そうした日本人と海藻のかかわりは、日本歴史が始まった最初の大和朝廷で、食用海藻の乾物をほかの農産物といっしょに貢物として献上する精度があったり、戦国代に兵糧のひとつとされていたこと、さらには、江戸時代に入ると各地方それぞれで特有の素干し品が作られたことなどの歴史的事実からもわかります。

ところが、日本人にとって、海藻類はあまりにもありふれた食品であったせいか、コンプやワカメの成分やその薬理効果については、つい最近まではばとんど研究らしい研究が進んでおらず、せいぜい、その成分の分析や化学構造式の解明が行われていた程度にすぎなかったのが実情です。

いっぽう、たいへん皮肉な話ではりますが、日本人の生活や商習慣がどんどん洋風化し、欧米化するにつれてコンプやワカメを食べる機会がどんどん減ってきているのです。しかし、最近になって、コンプやワカメには、想像以上のすぐれた薬理効果があることが徐々に明らかにになってきました。

心筋梗塞や狭心症、脳血栓など、根コンプ、コンプが効く秘密現代人に増えつつある欧米型の病気にも、こうした海藻が大きな力を発律してくれることが医学的にも解明されるようになりました。
というのも、コンプやワカメのあの独特なヌメリについての本格的な研究が進み、その薬理効果が、徐々にではありますが、わかってきたからです。
ヌメリは、動物実験によりますと、血液中のコレステロールを減らして動脈硬化を防ぐとともに、リポタンパク質を減らして血液をさらさらにして固まりにくくしますので、心筋梗塞や脳血栓などの血液の病気の予防に役立ってくれるのです。

つまり、ヌメリの中には、現代人にとって恐ろしい病気のひとつである血管系の病気を防ぐという、実にすぐれた作用があるということなのです。また、ヌメリの主成分であるアルギン酸やフコイダンは、水溶性の食物繊維そのものであることも明らかになりました。この水溶性の食物繊維は、いくつかの動物実験でも証明されているように、腸内の老廃物や発ガン性物質をすみやかに体外に排出させるという働きがあり、大腸ガンを防ぐものとして、今、大きな注目を集めていますが、ヌメリの中の水溶性食物繊椎の量は、数ある食品の中でもっとも多いグループのひとつなのです。

さらに、コンプは、カルシウムやマグネシウムなど、人間のからだに不可欠なミネラルを比較的多量に、しかも、バランスよく含む食品であることも忘れるわけにはいきません。

日本は、もともと土壌のほとんどが火山灰質であるため、そこに育つ野菜や穀物には、カルシウムや鉄などのミネラルがどうしても不足しがちで、そのために、私たちのからだにいろいろな弊害がみられるのも、まぎれもない事実です。その意味で、コンプは海水中のミネラルを食卓に運んでくれ、私たちのからだにミネラルを補給してくれる、自然からのかけがえのない贈り物ともいえるでしょう。

欧米化がすすむ日本の食卓

欧米の食品の特徴は、なんといっても高タンパク質、高脂肪です。したがって、ふつうの脂肪以外に、コレステロールをどうしても多くとることになります。ですから、血中コレステロール値が高い人ですと、コレステロールを多く含む食品の摂取量を制限する必要があります。

そうしたときには、低コレステロール食品を選ぶことも大切ですが、コレステロールの含有量が高くても、鶏卵のように、ほかの重要な栄養素を含む食品を完全に避けてしまうことは、かえってマイナスになることもあります。ところが、食物中のコレステロールの一部を便とともに体外に排出し、その吸収を少なくするような食品といっしょに食べれば、食品を制限しなければならないといったような心配を軽くすることができるのです。

そして、その主役となるのが食物繊維なのです。海藻は、良質の食物繊維を多く含んでいるほかに、とくにコンプやワカメにはフコステロールという血中コレステロール値を下げたり、血栓を予防するような働きのある成分もありますので、これらの海藻食品とコレステロールとは、それこそ宿敵の間柄にあるのです。日本人の食生活が、これからもますます欧米化していくことは間違いありません。

それだけに、健康な生活を送るために、毎日の食事の中に、理想的な栄養食品であるコンプやワカメを積極的にとり入れていくことがなんといっても必要なのです。幸い、コンプにもワカメにもそれぞれ独特の風味と味わいがあり、私たちの味覚や喚覚を十分満たしてくれるだけの、食品としての特徴をもっています。

しかも、長年にわたる生活の知恵の中から、たくさんの海藻料理の献立も工夫されており、その種類も決して少なくありません。スポーツクラブの隆盛やタバコばなれなど、人々の健康に対する思いが日増しに強くなり、同時に健康と食品についての関心も高まっている今、コンプやワカメなどの栄養バランスにすぐれた食品を見つめなおすことが大切でしょう。

海藻類、とりわけ、コンプのすぐれた薬理効果をひとりでも多くの方に知っていただき、身近な食品でありながらも、ふだん見過されがちなコンプに今一度注目していただくことを大きな目的としています。そして、さまざまな効能、効果がありますが、特に血圧を下げる「降圧効果」に注目していきたいと思います。