昆布の種類と原産地と取り扱いや保存の注意

昆布の名所は北海道

コンプは三陸海岸でも多少とれますが、北海道の特産品といって間違いありません。しかし、最近は胞子から育てて幼体を海で大きくする1年性のコンプの養殖が始められていて、これは東京湾やそのほかの暖かい地方の海岸でも行われています。

「早煮コンプ」などとして市販されている製品はこの種類です。北海道に良質の昆布が多くとれるのは、コンプの胞子のときの成育や発芽に、摂氏7~10度の低い温度が適しているからです。成体(食べる部分) になると15~17度でもよく育ちます。

現在、日本のコンプ生産量はここ数年あまり増減の変化はありません。その95パーセントを北海道で生産しており、総生産量の60パーセントを根室と釧路のコンプが占めています。

さらに、同じく総生産量の5~10パーセントが海外輸出用で、アジアやアメリカに向け輸出されています。

ちなみに、ここで昆布の生産量の変遷をあげてみましょう。数字は水揚げの量です。

昆布製品の種類と特徴

現在、日本、とくに北海道で生産されている昆布の種類はおよそ18種類といわれていますが、そのうちわけは、昆布属のものが約10種類、そのはかのいわゆる昆布といわれる種類が約8種です。それぞれ昧も栄養価も微妙に異なっています。最近では市販の昆布製品には品質表示がされるようになり、種類や生産地も明記されるようになっています。その代表的なものは以下のとおりです。

種類 特徴 加工後の製品名
真昆布(元揃昆布) 上品な甘みとこくがある最高級品 おぼろ昆布、とろろ昆布、白板昆布、しらが昆布、酢昆布、茶昆布、りゅうひ昆布、山出し昆布、塩昆布、昆布菓子類
三石昆布(三石長切、雑昆布 日高昆布ともいい一般向けの味で煮えやすい 昆布巻き、佃煮、塩昆布、刻み昆布、切り昆布、青切り昆布、甘昆布、早煮昆布
鬼昆布 羅臼昆布ともいい、香りがよく濃いダシがとれる高級品 おぼろ昆布、とろろ昆布、白板昆布、しらが昆布、酢昆布、茶昆布、りゅうひ昆布、山出し昆布、塩昆布、昆布菓子類
利尻昆布 澄んで香りのよいだしがとれる。真昆布より塩気が多い とろろ昆布、おぼろ昆布、白板昆布、しらが昆布、茶昆布、粉末昆布
細目昆布(なが長切、雑昆布) 最初に甘みを感じる。だし用にもなるがとろろ昆布やおぼろ昆布向け とろろ昆布、おぼろ昆布、佃煮
根コンブ粉末やその錠剤 主に真昆布の根を粉末にしたり錠剤にしたもので最初に甘味を感じる とろろ昆布、おぼろ昆布、佃煮

昆布の一生

昆布はほかの海藻、たとえばワカメやスサビノリ(ノリとして市販されている製品の大部分) などと同様に、種子にあたるものは胞子です。それがしだいに成長して成体(おとな になります。成体に生じた子嚢斑から秋には2本の鞭毛をもつ胞子( 遊走子)が放出されて、やがて岩などにくっついて、そこで発芽しますが、それらのうち、あるものは雌の配偶体となり、あるものは雄の配偶体になります。配偶体はいずれも糸状に細胞が集まってできています。
雌のほうに作られた卵と、堆から生じた二本の鞭毛を持つ精子とが合体し、そこから幼体が生じます。

幼体は秋冬の間にしだいに成長し、春には大きな成体になります。この成体は夏に向かってどんどん成長し、一人前の昆布となるのです。養殖コンプという、人工的に海で栽培するコンプの場合、この時期に海からひきあげて干して製品にします。一般に昆布は、夏の終わりごろから秋にかけてからだの一部に子嚢斑ができ、そこから遊走子が作られます。この遊走子から成体までがコンプの一生というわけです。それから冬にかけて、先の方は枯れ落ちてなくなってしまいますが、また翌年の春から新たに成長し始め、夏の終わりごろには二年性のコンプができあがり、これは全体として一年性のものより、厚く色も濃く、しっかりしています。そして、この天然コンプの大部分は二年目で刈りとられます。

昆布の買い方、保存法

昆布は主に夏に採集され、そのまま浜で天日干しにされます。したがって、夏の終わりから秋にかけての季節が、新しい昆布を手に入れるのにはよい時期です。しかし、良質の昆布は時間がたつほどに味がこなれてくるといわれていますので、必ずしも新しいものにこだわる必要もないようです。

昆布は、スーパーや乾物屋さんに行けばいっでも手に入るものですが、ふだんからよく使いますのでまとめ買いをしておくのがおすすめです。ネットで購入する場合は、北海道 日高昆布 訳ありなどのキーワードで検索すると高品質の訳あり商品を低価格で入手できます。
まとめ買いはお得ですが、家庭で丁寧に保存しておかなければなりません。
根コンブも干したものが袋に入れて販売されています。
粉末の状態で購入できるものもあります。

市販の干し昆布はもともとが保存食ですから、保存する場合はとくに心配をする必要はありません。しかし、湿気や熱にあたると、細菌やカビが生えて変質する可能性がありますから、そのまま台所に置きっばなしにするのはあまりよくありません。まとめ買いをした場合には、当面使う分だけを缶や密閉容器に入れておき、残りは乾燥剤とともにビニール袋などに入れ、乾燥した場所に保存してください。湿気は干昆布の大敵です。つまり、乾燥状態なら雑菌はつきにくいものなのです。

万が一にも昆布がしけってしまったら早めに天日で干して再度保存します。また保存中に白い粉がふいたような感じになることがありますが、これはマンニトールという物質を主成分とした昆布うまみ成分が吹き出してきたもので、カビではありません。いっぽう緑色や赤茶色に変色している所もよくみられますが、そこは細菌やカビにやられている所ですから、その部分を切りとっておくとよいでしょう。

なお、根コンプ水を作る場合には、必ず冷蔵庫で保存します。詳しい根コンブ水の作り方や詳しい情報はこちらです。

ここでちょっと、昆布はとりたてのものより、素干しにして少し日がたったほうが、うま味が出るわけを説明しておきましょう。コンプのうま味の主体は、グルタミン酸というアミノ酸ですが、ほかの食用海藻と比べて、コンプにはこのグルタミン酸がとくに多いのです。
ところが、コンプを日干しや熱乾燥すると、その間にグルタミン酸はもちろん、そのほかの味に微妙に関係するアミノ酸が増えてきます。それ以後、貯蔵している間にも多少は増えます。それは、コンプの中のタンパク質が自分の中にあるタンパク質分解酵素によって一部分解され、アミノ酸に変わるからです。これを自己消化といいます。ほかの生の食品でも、このような自己消化の現象がよくみられます。

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