コンブに含まれる食物繊維

アルギン酸とフコイダン

コンプには、その成分の25%を占めるアルギン酸をはじめとして、フコイダンなどからだに有益な食物繊維がおよそ30~40%豊富に含まれています。

このうちフコイダンの量は多くても数%以下で、残りはアルギン酸です。これは、食品の中で比較的多く食物繊維を含んでいるといわれているバナナで約7%、整腸食品として名高いリンゴで約12%にしか過ぎないのですから、その多さはとび抜けていることがよくわかります。

コンプに含まれるアルギン酸もフコイダンもペクチンなどと同じく酸性多糖で、水によく溶ける性質、水溶性の機能に富んだ食物繊維です。
したがって、コンプの葉の部分や根コンプを水に漬けると、ヌメリが出てきますが、その中には水溶性のアルギン酸やフコイダンが溶けていて、食物繊維としての効用に役立つのです。

また、酸性の多糖ですから、ブドウ糖や果糖などの中性の単糖がいくつも集まってできたデンプン(ブドウ糖の鎖) やイヌリン(果糖のから鎖) などより、さらに複雑に絡み合って、全体としては粘性の高いヌメリとなります。

水溶性とか、アルカリ可溶性かにかかわらず、アルギン酸やフコイダンは血中のコレステロールを減らし、動脈硬化を防いだり、試験動物に移植したいろいろなガンや大腸ガンを防ぐ働きをしたりと、実に効果的な働きをしてくれるのです。

何度も述べましたように、その抗ガン性が、すぐに人間のガンにも有効だという証拠は、今のところまだありませんが、消化管内でいくらかでも吸収されたものが、免疫系を刺激して、間接的に抗ガン性を示す可能性が期待されているのです。

少なくとも、発ガン性の物質の排除に役立つことは、一般的に信じられています。ですから、毎日の食事にコンプを積極的にとり入れ、日ごろからアルギン酸やフコイダンを摂取していれば、多くの成人病の予防のほかに、肥満防止や非常に間接的ではあっても、ガン予防に役立つ希望がもてるのです。

食物繊維と腸内細菌

コンプの食物繊推は、便秘を防ぐとともに、腸の中をきれいに掃除してくれるという働きもありますが、腸内の細菌に関していえばそれだけではありません。

人間の腸には、主に小腸の終りのほう、つまり回腸から先の大腸の中には、いろいろな細菌が住みついており、その種類は100種類以上あり、量も、大便の湿重量1グラムあたり1千億以上にもなり、健康なヒトの大腸の中の細菌の量は、1.5キログラムにもなります。
ですから、大便の約半分は細菌であるということになります。こうした多くの腸内細菌は、腸内のばい菌というわけですので、そのすべてが病気のもとと思われがちですが、決してそういうわけではなく、たとえばビフィズス菌に代表される放線菌などのように、私たち人間のからだになくてはならない作用をする菌、すなわち善玉菌が腸内にはたくさん存荏しています。

いっぽう、そこには、からだに害をおよぼすおそれのある悪玉菌( 病原菌)も、ウエルシュ菌やバクテロイデス菌、大腸菌なども多数見られます。
そして、こうした悪玉菌の繁殖は、成人病や老化の原因となり、ガンや肝臓病、動脈硬化、免疫力の低下といった病気になって私たちのからだをむしばむのです。

ふつう、善玉、悪玉両方の菌のバランスが保たれていれば、仮に腸内に悪玉菌があったとしても、何も問題はありません。ところが、ひとたびそのバランスがくずれると、からだの中でおとなしくしていた悪玉菌が本領を発揮し、人体にとって有害な物質を作り出して、いろいろなへい害を引き起こします。

ですから、健康を維持するためには腸内の善ふさ玉菌を増やして、つねに悪玉菌を抑えるようにしなくてはなりません。しかし、善玉菌の代表であり、私たち人間が生まれながらにしてもっているビフィズス菌は、ヒトが成長するにつれ、かたよった食生活やストレスが続くと、しだいにその数が減ってきます。

そこで、ヨーグルトなど善玉乳酸菌を含む食品をとることもよいといわれていますが、残念ながら食品で補給する細菌は、なかなか腸に住みついてくれません。ですから、腸内に前から住んでいた善玉菌そのものに栄養を与え、増やしてやることがどうしても必要となるのです。

食物繊維自体は、直接人間の栄養にはなりませんが、ビフィズス菌の栄養となり、それを増やす作用をもっていますので、コンプを食べていれば、その中の食物繊維が、からだの中のビフィズス菌を増やすはずであり、ひいてはコンプが成人病や老化からからだを守ってくれることになります。
昆布のヨウ素が基礎代謝を高め成長を促す | 食材のプロフィール

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