血圧を下げる昆布の成分ラミニン

昆布は長寿食の代表

本人の生活も昔にくらべると、ずいぶん豊かになりました。とりわけ、食生活のかわりようには驚くばかりで、今日食べるお米にも困った戦争直後の話など、今の若い人たちにはとうてい信じられないことでしょう。

しかし、そのいっぽうでかたよった食生活のため、健康を害することも決して少なくありません。食事面でいろいろと気を配っている人が多いのも、そんな飽食時代の困った一面といえるでしょう。

なかでも、塩分のとり過ぎに気をつけている人が目につきます。というのも、体内の塩分が過剰になると、血圧が高くなり、脳卒中に代表されるからだの弊害が引き起こされやすいからです。
血圧を上昇させる危険因子

味噌、しよう油、漬け物など塩分の多い食品を食べる習慣をもっている日本人は、苦から脳卒中の多い国民です。現在でも、脳卒中は死亡原因の上位を占めています。ところが、長寿食の研究家として有名な東北大学の教授の調査によると昆布やワカメなどの海藻もよく食べる地域には、長寿の人が多く、その地域ではほかの地域にくらべると、とりわけ脳卒中が少ないという結果が出ています。

これは、ひじょうに注目すべき結果といえるでしょう。なぜなら、これこそ、昆布には血管を丈夫にして血圧を下げ、脳卒中を防ぐ作用があることの裏づけにほかならないからです。

昔から民間療法として、汚れをとった一片の昆布を一晩、水に漬けておき、翌朝コンプの成分が溶け出してトロッとした水を、血圧など調節するのに効くといって飲んでいました。根昆布水は高血圧を抑制する

実は水に溶け出た成分、すなわち、ヌメリ成分が動脈硬化を防ぎ、血圧を下げる成分の正体なのです。もちろん昔の人々が、このコンプのヌメリ成分が脳卒中を防いでくれるということを科学的に知っていたわけではありません。長年にわたる日本人の経験が「生活の知恵」として受け継がれてきたわけですが、そうした知恵のすばらしさには驚かぎるを得ないところです。
コンブの驚くべき薬理効果はこちら。

昆布の目玉成分「ラミニン」

ヌメリ成分のほかに、昆布にはもうひとつ、血圧を下げる効果をもった成分があることが知られています。それがアミノ酸の一種であるラミニンです。
このラミニンという名称自体が、コンプの科学名、ラミナリアに由来しているものであるということからもわかるとおり、昆布の成分の中でも大事なもののひとつです。
ラミニンの量はそれほど多くはなく、真昆布で100グラム中1.89ミリグラム、三石昆布100グラム中6.34ミリグラムです。ウサギを使った動物実験では、このラミニンを与えると確実に血圧が下がることが確認されています。

ただ、この作用は一過性のもので、比較的短4い時間にまた元の血圧に戻ってしまう性質のものです。その含有量から考えて、コップ1杯分の根コンプ水に含まれるラミニンを摂取したくらいでは、高くなった人間の血圧を下げる量にはなりそうもないようです。
しかし、毎日必ずコンプを食べ続ければ、このラミニンの効果に加えて、ヌメリ成分の効果も作用して、つねに適正な血圧をたもてることになるのではないでしょうか。

いっぽう、昆布にはひじょうに多量のヨウ素(主に無機型、たとえばヨウ化カリウム) が含まれています。きよくほう日本の局方ではヨウ化カリウムを動脈硬化症の薬として使っています。根コンプ水中に溶け出してくるヨウ素も血圧調節に役立っていることが考えられます。こうしたことを思うと、毎日欠かさず昆布を食べると意識があることがきっとわかっていただけるはずです。

ラミニンの分布

ラミニンは、最初昆布から抽出結晶化して、その化学構造を決めたもので、昆布科の褐藻にかぎつて含まれているようです。含有量のもっとも多いのは、三石コンプですが、続いてその3分の1程度が、そのほかの昆布の仲間です。
しかし、ラミニンはアミノ酸の一種ですので、季節によってもコンプに含まれる量が変化するものと思われますから、分析値は絶対のものではありません。また、ワカメには三石コンプの15分の1程度しかありません。しかし、コンプの仲間つまり昆布属( ラミナリア) には一般的に多いのは確かです。

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